Skip to main content

Posts

Showing posts from October, 2023

伊坂幸太郎「777」

伊坂幸太郎の新作「777 トリプルセブン」 について書いています。ただしミステリーの核心部分には触れていません。カウンセリングの見地から興味深い部分に焦点を当ててまとめました。いつも社会問題を取り込んだ内容を描く伊坂さん、今回は マインドコントロールや虐待、そこからの癒し、回復 についてが重要なテーマに思えます。この問題は決してカルト宗教や芸能界だけの問題ではありません。職場でも学校でも、皆さんの身近で形を変えて気づかれないようにさりげなく起こっていることだと思ってほしいです。それではいつもの二人(なぎさと先生)に登場してもらいましょう。 なぎさ:  先生、伊坂幸太郎の新作読みました? ココおばさんが 「本当に悪い奴は、みんなに良い人だと思わせる」 (32P)と言いますが、最後まで読むと、本当に悪い奴と良い人がまさかの展開で。私は人を見る目がないなあって・・・ > 「777」は最後に大どんでん返しでしたね。でも、伊坂さんのミステリーは、推測する材料が少なすぎて、ちょっと分からないですよ。 なぎさ:  そうか、しょうがないですね。 > 今回の作品も、 「父親の振る舞いが息子の人生に大きな影響を与える」というテーマは、初期の名作「ゴールデンスランバー」と同じ だし、もう一つ、伊坂幸太郎は一貫して、 「常に疑え、常識に従って思考停止せず、自分の頭で考えろ、それが正義なのか悪なのか」という問いを読者に突き付けていますが、今回もそう。 最終的に、法で裁けない悪を討つ話でした。人を操っているといい気になっている権力者を叩きのめす。処女作「オーデュポンの祈り」や「重力ピエロ」の頃から全くぶれてない。 なぎさ:  「777」の主要な登場人物をおさらいしますね。舞 台はホテルで、裏世界の様々な業者(殺し屋、逃がし屋、仲介屋)が集まってくる。まず主人公の、「マリアビートル」の時と同じく不運やトラブルに巻き込まれる天道虫と呼ばれる殺し屋。 > 「殺し屋」シリーズの4作目。同じ主人公が活躍する「マリアビートル」がハリウッド映画化されたから続編を書いたんでしょうね。 なぎさ:   決して忘れることができないという能力を持った紙野結花という女性が、そのホテルに逃げ込む。 彼女が頼る逃がし屋のココおばさん。紙野を追う乾。彼が依頼して、紙野を捕らえようとする6人組の殺し屋と、かつ