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Showing posts from November, 2023

「クリスマス・キャロル」と「どろぼうの神さま」

 あっというまに師走ですね。 今日は、クリスマスにふさわしい本の紹介をしたいと思います。 ディケンズの「クリスマス・キャロル」とコルネーリア・フンケというドイツの作家が描いた「どろぼうの神さま」の2冊。大人と子どもの視点を対比させた、SF的要素のある児童向け文学という観点で、この2作品は似ています。 なぎさ: 先生、こないだお借りした 「クリスマス・キャロル」 読みましたよ! スクルージ爺さんが、第1の幽霊の力で過去のふるさとに戻ったシーン、金儲けのことしか考えない彼も、子どもの頃は無邪気だったんだって驚きました。第3の未来を見せる幽霊って、もしかしたらスクルージさん本人かな?って思いました。 誰にも悲しまれずに悲惨に死んだ魂が、未来から警告しに来た んじゃないかって。 > 当たってるんじゃないかな。スクルージに残った善の心が見せた幻なのかもしれませんね。 弱者を踏みにじる強欲な大人に、子どもの心を思い出してほしい というお話だから。「オリヴァー・ツイスト」をはじめとするディケンズの代表作は、虐待された子どもの視点で社会の不正を糾弾するスタイルが多いです。 つらい話も多いけど、物語の根底に、人間の善性に対する圧倒的な信頼がある。だから読んでいて安心する。 なぎさ: あれ そこにある本はもしかして「九条の大罪」で出てきた? > そう。 「どろぼうの神さま」 。真鍋昌平の漫画「九条の大罪」で、ホストを殺してしまった少女を弁護する際に、九条君が留置所に差し入れた3冊のうちの1冊。娘が成長したら読ませたいと言って、「モモ」と「星の王子様」と一緒に渡していました。うまい描き方ですよね。気になって読みたくなるもの。 なぎさ: 私もあらすじだけ調べました。どろぼうの神さまを名乗る少年スピキオが、つぶれた映画館に孤児たちをかくまっていて、彼らを探す探偵ヴィクトール、強欲な古物商バルバロッサ、孤児院とかかわりのある女性イダといった大人たちも交えて、不思議なメリーゴーランドをめぐる冒険へ。 > 強欲な古物商の運命は「クリスマス・キャロル」へのオマージュかもしれません。物語のカギを握る、子どもを大人に、大人を子どもにする不思議なメリーゴーランドは 「ライ麦畑でつかまえて」 後半場面を連想します。 なぎさ: どの作品も、子どもに対する優しいまなざしがありますもんね。そうい