私は古典や一般書、児童書の名著、ベストセラーを集めて病院内私立「図書箱」を作っています。最近、同時期にある作品が職員や患者さん複数に借りられたので、その本のことを書きたいと思いました。それは、黒柳徹子さんの自伝 「窓ぎわのトットちゃん」 (講談社青い鳥文庫)です。 小学校での体験を描いた作品にふさわしく、二人の対話のような形で書いていきます。 「窓ぎわのトットちゃん」面白かった。(2023年の)冬にアニメ映画になるみたいですね。 ≫ それは良かった。今年映画になるなんて、ちょっとした共時性(シンクロニシティ)かも。黒柳徹子さんが通っていたユニークな小学校「トモエ学園」での出来事を描いたノンフィクション、なんだけど、実際の手触りは限りなくファンタジーの世界だと思います。 校長先生の言う「君は、ほんとうはいい子なんだよ」(P243)って、確かにファンタジーの世界の魔法の呪文みたいですね。 初めてトモエ学園に行った日、「なんでも話してごらん」と言ってトットちゃんの話を4時間も聴いた「校長先生」(P29)、いいなあ。普通なら、話を途中でやめさせそうだけど、彼は全く気にせず最後まで聴いてくれて。 ≫ 最初から校長先生もトットちゃんを大好きになったって。子どもの話を聴くべきだから聴くのではなく、対等の友人として興味深く聴いていたみたいだね。 この対応が、トットちゃんが校長先生に心を開くきっかけになったと思います。トットちゃんは周りから冷たい目で見られたり疎外感を感じる事もあったそうだから。 ≫ 決まったルールで管理された小学校では、トモエ学園のように自由にふるまえないし、そもそも校長先生が対等に接してくれるなんてありえないものね。校長の信念はシンプルに、「どんな子も、生まれたときは、いい性質を持っている。それが大きくなる間に、いろいろな、まわりの環境とか、大人の影響でスポイルされてしまう。だから、早く、この『いい性質』を見つけて、それをのばしていき、個性ある人間にしていこう」(P331)というもの。 トットちゃんは、普通の大人からみたら厄介で迷惑な子どもだけど、トモエ学園の生徒や校長先生、トットちゃんの両親は他の人と違った見方だから、いい子だと愛されていたんだと思います。子どもは大人よりも周囲の気持ちを敏感に察するのかもしれない。自分も気をつけないと。 ≫ その気持ちが大切だ
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