みなさん、ラジオをふだん聴きますか。好きな芸能人が出演するから、特定のパーソナリティーの話が楽しいから、災害時の情報を得るため、理由は色々あると思います。 不登校であったり、学校になじめない、ひいては社会になじめない人たちにとっても、ラジオは大切な友人であることが多いです。TVやインターネットでもいいと思うのですが、なぜ、あえてラジオを選ぶのでしょう。 2025年4月6日川嶋あいさんの番組「明日への扉 ~いのちのラジオ⁺~」に、レディオキューブFM三重のアナウンサー 代田和也 さんが出演され、不登校だったときラジオに助けられたという話をされていました。 同様の話をした FM三重の特番は今でもYouTubeで聴取 できますが、そのなかで代田さんは、「日曜の夜にすべてのFMラジオが終わっていくさなか、電波の範囲が広いからAMラジオでまだ聴ける局はないか?とアンテナを伸ばして全方位を探って、やっとのことで広島からの電波をキャッチした」という内容を話されています。 ひとりぼっちのくらやみで、「だれかいないか」とよびかけて、はるか遠くから答えてくれたラジオ。その話を聞いて、私は「となりのトトロ」のようなふしぎな生き物があらわれて、隣に座ってくれるようなイメージが浮かびました。 代田さんは「ラジオは、お前がんばれよとか励ますわけでもなく、ただ、ず っとそこにあってくれた 」と語っています。この「そこにある」ということは精神療法において大切なありかたです。ラジオが社会になじめない人たちに愛される理由の一つではないでしょうか。TVは基本的にTV側から情報の一方通行ですし、インターネットのSNS等は時に誹謗中傷の嵐ですから。 ユング派のカウンセリングの草分けである河合隼雄先生は、カウンセリングのあるべき姿は、何もしないことを頑張る、ただそこにあるということだといいます。本当になにもしないわけではなく、その人の可能性を信じて寄り添うということです。 甲本ヒロトさんは、盟友ミュージシャンのことをほめるときに 「なんか、そこに居るんです。ワタナベマモルは」 という表現をします。実際に甲本さん自身のたたずまいも、凄むわけでも影響を与えようとするわけでもなく、...
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